国分寺・日南・ソウル……2018年、編集部イチオシの「まちトピック」と「まちの本」を一挙紹介!

 あけましておめでとうございます。matinoteを2018年もよろしくお願いいたします。
 少し長めのお正月休みをいただきまして、充電やネタ探しもばっちりのメンバーが今年も皆様のアンテナに引っかかる記事を配信出来ればと思います。
 さて、本年1本目は2018年、matinote編集部のメンバーがおススメする「まちトピック」と「本」を一挙紹介していきたいと思います!2018年、今年こそ「まち」に関する面白い世界に触れてみませんか?

2018年、3つのおススメ「まちトピック」を発表!

1.『ミーツ国分寺開業!』 【推薦者:かぜみな】

 2018年4月に、国分寺駅北口の再開発事業で完成するビルに「ミーツ国分寺」が開業します。この商業施設最大の特徴は、なんといっても三越伊勢丹が手掛ける専門店ビルであるというところです。三越伊勢丹は成長分野である不動産事業強化を打ち出しており、この「ミーツ国分寺」は三越伊勢丹が専門店ビル事業を本格的に展開する最初の施設となりそうです。

 
完成間近の「ミーツ国分寺」。三越伊勢丹が近年おかれている厳しい流れを変える商業施設になるのか、注目しています。(撮影:夕霧もや・2018年 )

完成間近の「ミーツ国分寺」。三越伊勢丹が近年おかれている厳しい流れを変える商業施設になるのか、注目 (撮影:夕霧もや・2018年 )

 

百貨店業界に限らず、不動産事業の強化は近年の小売業界の大きな潮流となってきています。その中でも新宿店の空間編集などで実績がある三越伊勢丹が本格的にてがける施設である上、立川と新宿という伊勢丹の旗艦店に挟まれた国分寺という立地です。どういったテナント構成で、施設空間を創り上げてくるのか、非常に注目しています。

 
撤退が決まった伊勢丹松戸店(千葉県松戸市)。「ミーツ」成功の如何によっては、こういった地方店・郊外店再生への一つの道筋が開けるかもしれない(撮影:かぜみな・2015年)

撤退が決まった伊勢丹松戸店(千葉県松戸市)。「ミーツ」成功の如何によっては、こういった地方店・郊外店再生への一つの道筋が開けるかもしれない(撮影:かぜみな・2015年)

 

2.『小田急電鉄で複々線完成!』 【推薦者:夕霧もや】

 ベタではありますが、3月の小田急線複々線化・ダイヤ改正が今年の注目ポイントです。特に以下の2点に注目しています。

  • マーケティング戦略
     複々線完成を迎えるにあたり、「HELLO NEW ODAKYU」と銘打ったプロモーションを2016年12月より展開してきました。複々線により実現する都心への所要時間短縮、混雑の緩和と、それに伴う暮らしの変化をアピールする内容です。
 
現在は「遅くて、混んでいる」小田急線。複々線の完成で、どこまで解消されるか (撮影:夕霧もや・2016年)

現在は「遅くて、混んでいる」小田急線。複々線の完成で、どこまで解消されるか
(撮影:夕霧もや・2016年)

 

 1年以上も前からのPR、沿線外への積極的な広告、各駅ごとへのアピール内容の出し分けなど、鉄道会社としては「異例」と言っていいほど力が入っています。ダイヤ改正前にぜひ、このプロモーションをご覧いただきたいです。

 
登戸駅で掲出されている広告。具体的な短縮時間や、何ができるようになるかをアピール (撮影:夕霧もや・2017年)

登戸駅で掲出されている広告。具体的な短縮時間や、何ができるようになるかをアピール
(撮影:夕霧もや・2017年)

 

  • 沿線の変化
     鉄道は地域に大きな影響を与える存在です。matinoteで紹介してきた各地でも、鉄道の開通は歴史上のターニングポイントとなっていました。交通事情の変化が各地域にどのような影響をもたらすか、ぜひ長いスパンで観察してみてください。小田急線沿いは既に開発されたエリアが大半なだけに、単なる開発の進展ではない変化が見られるのではないかと期待しています。
 
大規模な再開発が竣工する海老名駅(撮影:夕霧もや・2017年)

大規模な再開発が竣工する海老名駅  (撮影:夕霧もや・2017年)

 
  • 編集長から一言:小田急沿線で今年特に注目したいのは、イオンモール座間開業・海老名の再開発事業・小田原都市圏の変化です。今年はぜひこの辺をmatinoteや東洋経済オンラインで取り上げたいと考えています。

3.『宮崎県日南市のまちづくり』 【推薦者:鳴海行人】

 昨年70程のまちを周ってきて、いま化けている途中だな!と感じたまちがいくつかあります。その中でも私が推したいのが宮崎県日南市です。
 元々飫肥や鵜戸神宮といった観光地が目立つまちではありますが、他のまちからのアクセスは決していいものとはいえません。王子製紙の大きな工場があり、人口も5万人いるとはいえども、少し行くには「気合」が必要な場所です。

 
日南市飫肥地区は城跡と歴史的町並みを中心としたまちあるきができる。駅から歩いて回ることもでき、ゆったりした観光にもおススメだ

日南市飫肥地区は城跡と歴史的町並みを中心としたまちあるきができる。駅から歩いて回ることもでき、ゆったりした観光にもおススメだ (撮影:鳴海行人・2017年)

 

 しかし、このまちにいま面白い流れが来ています。それは油津地区のエリア再生です。日南市長が期間限定で招いた「地域再生請負人」の2名がブランドマネジメントやマーケティングを行い、商店街の再生を軸に様々な活動を行ってきています。
 普通、5万人クラスのまちの商店街といえば賑わいもなく、衣料品店やお茶屋さんが細々と営業しているだけなのですが、ここ油津は違います。お洒落なカフェや食堂、ゲストハウスがあるのです。この中には「地域再生請負人」の仕事のものもあればそうでないものもありますが、いま確実に地域ぐるみで「面白い」まちを作る流れが来ています。

 
一見すると閑散とした商店街だが、マルシェやお洒落な屋台もあり、短いながらも見る目を楽しませてくれる。ゲストハウスもあり、ここで1泊していくのもよいだろう (撮影:鳴海行人・2017年)

一見すると閑散とした商店街だが、マルシェやお洒落な屋台もあり、短いながらも見る目を楽しませてくれる。ゲストハウスもあり、ここで1泊していくのもよいだろう (撮影:鳴海行人・2017年)

 

 地域内には山形屋の支店という昔ながらの商業施設もあれば古い施設をリノベーションしたコワーキングオフィスといった最先端のものまであります。
 そして今度は油津だけでなく、飫肥地域にも「再生」も手が入るとのこと。こちらは今までの観光まちづくりがあっただけに、油津とはまた違ったまち再生のアプローチになるような気がします。そのため、どう変貌していくのか、飫肥と油津がどう連携していくのかも含めて現在進行形で大注目です。是非まちのなりたちや歴史も含めてみてほしいまちです!!

2018年おすすめの「まちの本」!

 続いては、2018年おススメの「まちの本」を紹介していきます!

1.『小名浜ショッピングセンター物語 共に歩んで二〇年思い出すまゝ』(須田一男:著) 【推薦者:かぜみな】

 2017年12月10日配信の「まちの「若手」と「老舗」がショッピングセンターを作ってバトル!?小名浜ショッピングセンター物語-合併都市いわきいまむかしⅢ」で取り上げた小名浜ショッピングセンター成立の過程を詳細に記述した名著です。
 筆者自身も立ち上げから小名浜ショッピングセンターの運営に関わってきた方であるだけに、その熱い語り口と魅力的で引き込まれる文体によって荒々しくも丹念に描かれる、当時のショッピングセンター開設を夢見た若者たちの膨大な熱量が、その書き味と合いまって手に取るように感じることができます。
 ただ唯一この本が難しいところは、国会国立図書館に蔵書が無く、大学図書館にも蔵書が無く、福島県立図書館かいわき市立図書館へ赴かないと読むことができないということです(!)。ぜひ現地に出かける際にいわき駅前のビル『ラトブ』にあるいわき市立中央図書館に立ち寄って、一読してみるのをオススメします。

 
ひとつの地元主導型ショッピングセンターに対して本が一つ完成してしまうというだけで、この商業施設がいかに地元に愛され、地元の希望で、地元の誇りであったかが窺えるものです(撮影:かぜみな・2016年)

ひとつの地元主導型ショッピングセンターに対して本が一つ完成してしまうというだけで、この商業施設がいかに地元に愛され、地元の希望で、地元の誇りであったかが窺えるものです(撮影:かぜみな・2016年)

 

2.『都市交通の世界史 ―出現するメトロポリスとバス・鉄道網の拡大―』(小池滋・和久田康雄:著) 【推薦者:夕霧もや】

  
 ソウルの記事を書く際に使用した「都市交通の世界史―出現するメトロポリスとバス・鉄道網の拡大―」をお勧めします。
 鉄道、バスといった交通モードに囚われない「都市交通」という視点から、世界の各都市を並行的に分析している書籍は極めて限られます。特にこの本では、「馬車→路面電車→バス→地下鉄」といった交通技術の変化、地形や政策といった各都市・国ごとの事情の双方から歴史が紐解かれており、多面的に都市交通をつかむことができます。ぜひ、都市交通に関する知識の基礎として手元に置いていただきたい1冊です。
 ちなみに、ソウルの交通史・事情が体系的にまとまっている書物は極めて少なく、現在日本で読めるのはほぼこれ1冊と言っても過言ではありません。ソウルに興味がある方は特におすすめです。

  • 編集長から一言:アジアの交通はとても面白く、参考になります。「アジアの交通と文化」(澤喜四郎:著)もおすすめです!

おススメその3! 『散歩もの』(久住昌之・谷口ジロー:著)・『京都の平熱』(鷲田清一:著) 【推薦者:鳴海行人】

 お2人にはアツい情熱が迸る本を紹介していただいたので、私からはライトなものを2冊。

  • 散歩もの

     昨年訃報がありました谷口ジロー・画、久住昌之・原作の作品です。ここで「アレッ!?」と思った人は鋭いですね。実は一部で人気を博している漫画「孤独のグルメ」のコンビです。
     「孤独のグルメ」は独特のストーリーで食や店を紹介し、主人公の独特なキャラクターやせりふ回しに人気が上昇、不定期でテレビドラマ化されています。
     対して「散歩もの」は100頁ほどの薄い本です。主人公も普通のサラリーマン(まぁ部長職ですが)。ヤマもオチもないストーリーがたんたんと進んでいきます。
     でも「まち」ってそんなものじゃないかなと思うのです。たまに懐かしい所に行き当たったり、好きな風景に行き当たって喜ぶ。下調べしてみて確かめたからこそ得る喜びもありますが、やはりまちを巡るわくわく感の原点ってこういうものだと思うんです。なんだかふらりとまちを歩いて贅沢に時間を使いたくなる。そんな本です。

  • 京都の平熱

     「京都」というとどうも深入りしづらいまちですが、「京都人」は意外ときさくでユーモアの持ち主です。私が出会ってきた京都の人は概ねそんなイメージです。そのため、ちょっとまちの持つ雰囲気と人との間にギャップがありました。そこで手に取ったのがこの本。
     読んでいくと、京都の人たちの「京都観」が垣間見え、京都人の京都人たるゆえんがわかってきます。おそらく、読むと京都(人)嫌いになる人もいるかもしれませんが、もっと「身近」に京都のことが見えてわかってくる1冊です。ぜひ寺社仏閣だけではない「京都」を知りたい方は手に取ってみてください。

今年もmatinoteにご期待ください!

 さて、編集部メンバーが2018年にお勧めする「まちのトピック」と「まちの本」をご紹介してきました。編集部では1月5日に鹿島神宮に参拝し、毎年恒例の絵馬も奉納してきました。

 
今年はインターネット上での記事配信だけではなく「ツアー」や「トークイベント」といったリアルの場への進出も行っていきます

今年はインターネット上での記事配信だけではなく「まちめぐりツアー」や「トークイベント」といったリアルの場への進出も行っていきます

 

 本年はどんな1年になるのでしょうか。引き続き、matinoteにご注目いただければと思います。