【交通】「寝過ごし救済バス」の実力は?―年末深夜輸送レポート:その2・西東京バス編

 2016年忘年会シーズンの輸送対応レポート、第2弾です。
 前回は東武東上線を舞台にグループ力と臨時列車の妙を見てきました。
 今回はJR中央・青梅線、中でも立川以西の様子を見ます。
 こちらのトピックとしてはなんといっても「乗り過ごし救済バス」が挙げられるでしょう。高尾まで乗り過ごしてしまった寝過ごし客を八王子まで送り届けるというバスです。2014年から始まり、年々注目度が高まっています。
 今回はこの「乗り過ごし救済バス」を中心に、立川発河辺行き深夜バス「楽帰ぃ」、拝島発武蔵五日市行き深夜バスと西東京バスの深夜輸送を取材しました。

 
西東京バスでは今回調査した地図内の3路線以外にも、八王子駅24:40発を中心に多くの深夜バスを運行しています。

西東京バスでは今回調査した地図内の3路線以外にも、八王子駅24:40発を中心に多くの深夜バスを運行しています  (OpenStreetMapを元に作成) ©OpenStreetMap contributors

 

2016年末深夜輸送レポート:寝過ごし救済バス編(調査員A)

 あいにくの雨天となった調査当日ですが、それでも中央線は混雑しています。沿線のバスも深夜にも変わらず多くの利用客が列をなして待っているところが見られました。
 高尾に到着すると、西東京バスの社員が待機していました。その手にはスマートフォンが握られ、時たま画面をチェックしています。何かと思えば、なんと「JR東日本アプリ」を使って運行状況をチェックしているようでした。JRと西東京バスはグループではないため、連携ができないものの、こうしてアプリがあることで疑似的に連携ができています。
 八王子駅北口行きの「寝過ごし救済バス」は25:13に高尾を発車しました。マスコミの取材もいれると29名ほどが乗車しています。
 途中停留所でパラパラと降車があり、終点の八王子駅北口に到着したのは25:50で、乗りとおしたのは14人でした。半数がマスコミなどでしたから、実数としてはそこまで多くないかもしれません。

 
高尾駅で「寝過ごし救済バス」を係員が案内する

高尾駅で「寝過ごし救済バス」を係員が案内する (撮影:調査員A・2016年、画像の一部を加工しています)

 
「寝過ごし救済バス」の表示幕は「JR八王子駅」とシンプルなものだ

「寝過ごし救済バス」の表示幕は「深夜バス」とシンプルなものだ (撮影:調査員A・2016年、画像の一部を加工しています)

 
高尾駅はタクシーの需要も旺盛だ。寝過ごし救済バスの前に停まっているのは25:05高尾駅北口発恩方営業所行きの深夜バス

高尾駅はタクシーの需要も旺盛だ。寝過ごし救済バスの前に停まっているのは25:05高尾駅北口発恩方営業所行きの深夜バス(撮影:調査員A・2016年)

 

 さて、西東京バスはこの年(2016年)から八王子駅前温泉「やすらぎの湯」とタイアップして、バス利用者向けの割引利用券を配布する施策を始めました。しかし、この日、実際にこの割引券を利用したは1名のみで、今年(2017年)の寝過ごし救済バスの運行においては、同様の施策は実施されていません。

 
2016年のみ実施された「やすらぎの湯」の割引企画。降りたところで社員が案内していた

2016年のみ実施された「やすらぎの湯」の割引企画。降りたところで社員が案内していた (撮影:調査員A・2016年、画像の一部を加工しています)

 

 2016年の「寝過ごし救済バス」は3日間の運行で、合計75人の利用がありました。最大で32人乗った日があったそうで、おおむね20~30人利用したようです。「寝過ごし」というある種特別な条件で発生する需要のため、状況は流動的だとは思いますが、利用者の多さを鑑みれば今後も数年は運行されるのではないかと思われます。

2016年末深夜輸送レポート:立川→河辺「楽帰ぃ」編(調査員B)

 立川発河辺行きの深夜バスを西東京バスでは「楽帰ぃ」と名付けています。以前あった通勤高速バスは「楽々エクスプレス」であったことから、バス利用は楽というイメージを西東京バスでは大切にしたいようです。
 さて、深夜の青梅線は中央線に負けず劣らずの大混雑でした。帰宅客で賑わう立川駅青梅線ホームにやってきたのはなんと6両編成。「えー、6両!」という声や乗車をあきらめて次の電車を待つ人もいました。
 立川駅北口のバスターミナルに目を移せば、東大和市方面のバスは大盛況で、24:45には66人と満杯の乗客を乗せて発車していきます。25:05の最終バスも50人弱が乗っていました。

 
深夜の青梅線は6両では大混雑になってしまう

深夜の青梅線は6両では大混雑になってしまう (撮影:調査員B・2016年、画像の一部を加工しています)

 
立川から東大和市駅方面に運行する西武バスも最終バスは遅くまで運行する

立川駅から東大和市駅方面へ向かう西武バスも遅くまで運行する(撮影:調査員B・2016年)

 
 

 今回調査する「楽帰ぃ」は25:15の発車で、立川発車時点では35名乗車とこちらも盛況です。途中拝島で1名乗車がありましたが、途中停留所でパラパラと人が降りていきます。終点河辺には26:13に到着し、9名が降りていきました。
 ところでこの日の楽帰ぃ、なんと1便だけではありませんでした。河辺駅前のコンビニでお茶を買って出てきたところで、なんと2便目が到着し、3名が降車していきます。おそらくは立川で10分ほどあとに1台出し、10名ほどを迎えたのでしょう。臨機応変な姿を見せてくれました。

 
立川駅北口に停車中の「楽帰ぃ」。「深夜ご帰宅バス」と銘打たれている

立川駅北口に停車中の「楽帰ぃ」。「深夜ご帰宅バス」と銘打たれている(撮影:調査員B・2016年)

 

2016年末深夜輸送レポート:拝島→五日市深夜バスと拝島駅乗換模様編(調査員C)

 あきる野市のホームページには「早朝・深夜バス」のページがあり、JR五日市線の始発前と終電後のバスが案内されています。運行開始は2010年と最近で、当初は福生駅発着のみが運行されていました。その後、拝島駅西口のバスターミナル整備に伴って、拝島駅発着も増やされています。
 拝島駅から武蔵五日市へ向かう深夜バスは24:50発で、24:30過ぎに拝島駅に到着すると、2台のバスが待っていました。
 多くの利用客が見込めるので2台体制なのかと思って見ていたところ、発車時刻前の24:45に6名を乗せて発車していきます。もしや、早発?と思ったのですが、実際は違いました。2台目は青梅線の最終電車まで待機していたのです。これはホームページなどには載っていない、臨時の措置です。
 拝島駅からタクシーを捕まえようと並ぼうとする人も、バスを見つけると「あれ?こんなのあるの?」という顔で乗務員や付き添いの社員に「○○までいけるか」と口々に尋ね、乗っていきます。

 
武蔵五日市行きのバスには自宅の方向へ走るのか確認する人が時折表れていた

武蔵五日市行きのバスには自宅の方向へ走るのか確認する人が時折表れていた (撮影:調査員C・2016年)

 

 最終の青梅線は10分ほど遅れ、直前には西武拝島線の最終も到着しました。乗り換える利用客が少ないと思っていましたが、想定外に多くいました。西武拝島線から青梅線へ走る人が30~40人もおり、西武とJRの駅員がカンテラで合図をとりあっていました。
 また、拝島駅そのものの降車客も多く、JRと西武を合わせて150名ほどが拝島駅で降りたようです。徒歩やキッスアンドライドで駅を離れる人、タクシーの待ち列に加わる人がいました。タクシーは30名ほどが並んでいます。

 
拝島駅では西武とJRの間で最終電車の接続を行っている

拝島駅では西武とJRの間で最終電車の接続を行っている  (撮影:調査員C・2016年)

 
拝島駅西口ではタクシーを待つ人も多い

タクシーを待つ人も多い  (撮影:調査員C・2016年)

 

 バスにも人が向かいますが、本来時刻表にないバスゆえ、半信半疑で乗務員に行先を尋ねます。中にはこのあとくる河辺行きの「楽帰ぃ」を待つという人もいました。
 青梅線最終の乗客も見られなくなり、落ち着いたのは25:15ごろ。25名もの客を乗せ、武蔵五日市行きの深夜バスが発車します。
 用意していた車で追いかけてみましたが、途中で1人、2人と下車していき、秋川駅では9人ほどまで減っていました。

 
拝島駅を発車する深夜バス

拝島駅を発車する武蔵五日市駅行き深夜バス  (撮影:調査員C・2016年)

 

まとめ

 今回は中央線方面の深夜時間帯における旺盛な需要を垣間見ることができました。また、寝過ごし救済バスも3年目ですっかり定着してきた感じや、新たなツールの使いこなしも見られました。ほかの2路線についても臨時バスを積極的に出し、西東京バスが積極的にバスを利用促進させよう、便利に感じてもらおうという意欲を見ることができました。
 ここまで積極的に忘年会輸送を展開しているとすると、今後も西東京バスはさまざまな面白い施策が期待できそうな気がします。
 そして、最近ではこういった深夜バスも乗り換え検索アプリで検索できます。さらにNAVITIMEでは「終電後に帰れるルート」という機能が先日搭載され、これも大活躍しそうです。
 それでは、深夜の輸送を使いこなして、楽しい年末をお過ごしください!