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matinote編集部が行く!(1)浜松の「奥深さ」―その2・浜松の郊外をめぐる

 昨年10月にmatinote編集部で浜松のまちめぐりに出かけました。前回は天竜や笠井といった昔からある拠点やさぎの宮団地、そして中心市街地を車や自転車で訪ねていきました。

 さて、昼食をとった私たちは、いよいよ車で広い広い浜松の郊外へと向かいます。

 

1日目の後半、今回の記事で出てくる場所の位置関係図です。浜松の「広さ」がわかります。青線は浜松環状線です (OpenStreetMapを元に鳴海行人作成) © OpenStreetMap contributors

 

郊外をめぐる冒険

 中心市街地から国道257号線を西へ進みます。MEGAドン・キホーテ浜松可美店はかつての長崎屋浜松可美店の跡。長崎屋らしくない雰囲気の店舗ですが、入ってみれば、吹き抜けの造作などに長崎屋らしさ、見えました。

 

旧長崎屋の浜松可美店です。可美地区は1991年まで可美村として独立しており、村内にあるスズキの工場へは「浜松市外」という住所を書けば届いたのだとか (写真:かぜみな・2016年)

 

 ここから少し北上して、佐鳴台の住宅地を見に行きます。前々から浜松駅で「さなる台」と書いてあるバスが大量に発着する姿を目撃して、非常に気になっていたのです。

 調べたところによると浜松市が土地整備を行い、1970年代に開発した団地もあるエリアなのだとか。佐鳴湖がエリアの西にあり、わたしは「湖畔に広がる高級住宅地」……を想像したのですが、佐鳴湖が見えることを売りとしているわけではないようで残念です。1970年代開発の丘の上の開発地ということで、横浜や川崎の住宅地と酷似しているのでしょうか。車内ではそんなやりとりもありました。

 バスはデータイムで毎時4~5本運行されていて、わたしの地元よりも便利です。

 

佐鳴台周辺の人口密度 (作成:鳴海行人・出典:2010年国勢調査)

 

 佐鳴台を抜けて県道62号線を西へ向かい、「イオンモール浜松志都呂」に寄ります。近くまで川が迫っているためか、1Fは駐車場、2F以上が店舗というイオンモールにしては非常に珍しい構造をしています。浜松市内には東区にも「イオンモール浜松市野」があり、テナントなどが競合しないのか気になるところです。

 

浜松市中心街から伸びる「雄踏街道」沿いにはロードサイドの光景が広がっています (写真:白井大河・2016年)

 

イオンモール浜松志都呂の外観 (写真:鳴海行人・2016年)

 

 イオンモール浜松志都呂は県道62号線と県道65号線(浜松環状線)の交点にあり、非常に自動車での利便性はよさそう。イオンモールを見た後は、浜松環状線で北上し、さらに郊外住宅地を見ていきます。

 浜松環状線の西側にある大人見町にある「おおひとみ」地区は2000年代の開発。さらに北上して東名高速道路の北側にある「桜台」も同じく2000年代でしょうか。浜松環状線が市街地化の限界点となっているようで、いずれも離れ小島的な開発がなされています。バスの本数もそこまで多くなく、自動車がないと大変そうな感じもします。このあたりから天候が悪くなり、雨が降り始めてきました……。

 

おおひとみ地区の様子です。コンパクトな新興住宅地でした (写真:白井大河・2016年)

 

桜台地区は少し大きめの開発で、至近に工場や東名高速道路浜松西インターがあります。住宅地の雰囲気はおおひとみ地区と似ています (写真:白井大河・2016年)

 

浜松環状線の浜松西インターの周辺です。浜松環状線は浜松の郊外をめぐるには大変便利な道路です (写真:白井大河・2016年)

 

浜北のモールと住宅地

 さらに浜松環状線を進み、西区から浜北区に入ります。浜北区は2005年の合併までは浜北市という独立していた市でした。そのせいか浜松の郊外出店とは若干背景が違うショッピングモールが存在します。

 

旧浜北市エリアの拡大図 (OpenStreetMapを元に鳴海行人作成) © OpenStreetMap contributors

 

 1つ目は「プレ葉ウォーク浜北」です。このショッピングモールはユニーによるモールで、もともとアピタ浜北店としてあったものを増築してモール化した商業施設だとか。

 大規模郊外モールによくある幹線道路沿い……という立地ではなく、低層の住宅地に囲まれている独特の立地です。逆を言えば郊外モールなのに自動車でのアクセスがいま一つ…といったところでしょうか。

 

プレ葉ウォークは既存のアピタ(右奥)にモールを付け足したという構造です。そのためか、店内には謎の傾斜部分があります (写真:白井大河・2016年)

 

 もう1つは「サンストリート浜北」です。こちらは西友を核にしたモールで、プレ葉ウォークよりは小さい印象。しかしこちらは国道152号線沿いに位置しており、自動車でのアクセスはよさそう。独特の空間構成がなされており、イオンモールでもアリオでも○○ウォークでもない「インディーズモール」の雰囲気が楽しめます。

 

サンストリート浜北には映画館があり、店内は独特の構造をしています (写真:鳴海行人・2016年)

 

 サンストリート浜北を出たあたりで日が暮れてきましたが、もう少しまちをめぐります。

 続いてはサンストリートの西側にある内野台、染地台の住宅地へ向かいます。内野台は1970年代に開発された地区です。

 アプローチ路も畦道を広くしたような心細い道で、古い住宅地である様子が見てとれます。地区の中心にラウンドアバウトがあるのが特徴的で、バスも1時間1~2本あり、それなりに便利といえそうでしょうか。

 

内野台はラウンドアバウトが特徴的な新興住宅地です。住宅地へのアプローチ道路が少し狭いのが1970~80年代の新興住宅地らしいです (写真:白井大河・2016年)

 

 隣接する染地台は2000年代に開発が始まり、現在流入人口が最も多いと言われる地区なのだとか。自動車の便はよさそうな場所ですが、内野台と変わってバスは2時間に1本ほどしかないのでバス利用は厳しそう。ある程度所得のある層が居住しているようで、かなり「風格を感じる」住宅地です。

 

染地台の人口増加を表したグラフです。10年余りの間に約6000人、割合にして約700%もの人口増加が起きています。数年間約700名もの人口増加が起きていたことも特筆に値します (作成:鳴海行人・出典:浜松市統計)

 

内野台・染地台や都田地区の人口密度です。2010年の統計が基準のため、染地台の人口密度は図よりもかなり高くなっていると思われます (作成:鳴海行人・出典:2010年国勢調査)

 

かなり暗くなっていますが、染地台の様子です。2000年代の新興住宅地らしく街区にゆとりがあります (写真:白井大河・2016年)

 

 染地台を縦貫する道路をそのまま北上すると新都田の地区に入ります。テクノポリス構想により浜北にある三方原(台地)の北東の端に職住近接型で作られたニュータウンで、「都田テクノ」もしくは「テクノ」と呼ばれているそう。ベイシア・カインズのモールが地区内にあって、柏の葉やつくばのような学園都市的景観が見られました。

 

都田地区の様子です。住宅地だけでなく事業所も多い地区です。左手奥に見えるのはカインズモール (写真:白井大河・2016年)

 

 これにてこの日の行程は終了となりました。浜松餃子のボリュームはどこへやら、全員おなかがぺこぺこだったので、ハンバーグレストランさわやか浜北店へ向かいます。やはり、浜松と言えば「さわやか」ですよね。

 

静岡にくればやっぱり「さわやか」のハンバーグは欠かせません (写真:鳴海行人・2016年)

 

 そのあとは浜松の市街地にとった宿へ向かいます。宿に着くと、運転担当の鳴海氏は着替えもせずに3分で寝てしまいました……。ほかのメンバーは思い思いに今日の振り返りをしつつ他愛もない雑談をし、夜は更けていきました。

 次回は浜松で観光をします。フォトジェニックな風景がたくさん出てくるので、お楽しみに。

※当記事は文章はかぜみな・図やデータは鳴海行人が分担して作成しました。