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トーキョー・セントラル、ディープ・ワールド-第3回:現役中央区民が語る「地元としての」中央区

 前回(2017年3月11日)の記事において、中央区民であるトントリさんと一緒に中央区を巡りました。その後巡検は晴海トリトンスクエアで終了となりましたが、その後さらなる中央区の知らない一面を探して、彼にちょっとしたインタビューを行うことになりました。

話し手
トントリ:タワマンではなく団地に住まう高層建築評論家。生まれたときからずっと中央区。オフィスビルは友達。中学校は銀座にありました。

聞き手
かぜみな(@kazemina_:庭付き一戸建てではなく団地に住まう唐揚げ好き商業施設ウォッチャー。まちを歩いて、知って、書き残すプロジェクトmatinote代表。生まれたときからずっとニュータウン。団地は友達。中学校は京浜工業地帯にありました。

かぜみな(以下:か):というわけで、よろしくお願いします。トントリ君は大学の同期なので、改めてかしこまると変な感じがしますが……

トントリ(以下:ト):え、いまから尋問されるんですね!?

:ええ…(困惑)、まぁ実際心構え的にはそんな感じです(笑)

:よろしくお願いします!

:よろしくお願いします(それは尋問をよろしくお願いしますという意味なのか?と思いつつ)

中央区の学校事情

:気を取り直して……まずは、トントリさんの中央区歴について聞きたいのですが、いつごろから中央区には住んでいるのでしたっけ?

:生まれたときからずっと中央区ですね。

:おお、そうなんですね。それはすごい。一度も中央区の外に住んだことは…

:ないですね。

:ただ転居は経験している?

:そうそう。生まれてからは新川に住んでいたけど、10年くらい前に現在住んでいる場所に引っ越しました。

:まぁあまり具体的なことは言えませんが、だいぶ海側のほうの中央区だったような記憶があります。

:そうですねぇ。引っ越した当初の印象は「なんもねーじゃん!」って感じです。いまはそうでもないですが。

:1994年生まれということは、時期的には2006年とか、それくらいに転居したという感じですか。

:そうですねぇ、その頃だったと思います。晴海トリトンスクエアとか、大江戸線とかはもうできていたので、地域のインフラはもう揃っていました。

:そういえば小学校ってどうなっていましたか? 10年前ですと、ちょうど中学校の頃に引っ越し?

:えーっと……どうだったかなあ。あっ、そういえば、バスで小学校通ってた。

:バス!? 公立ですよね……?

:普通の公立小学校だけどね……? でも小学校は一時期だけだった気がする。たしか小学校六年の5月くらいに引っ越して、それで本来は転校する必要があったんだけど、時期が時期だったから留まるのを認めてくれた。だから卒業まで前の小学校にバスで通ってた(笑)

:また微妙なタイミングで引っ越しましたね…

:ねぇ、ほんとに(笑) おまけに直行便が無くて、乗り換えが何パターンかあって。

:そういう経験が小さいころからあると、バスで移動することに対しては抵抗が無さそうですよね。自分の地元はバスが1本しかなかったから、小学校の時点であまり意識したことはなかった。

:大学へも一時期は地下鉄で通っていたけど、なんか違うな~と思って、またバスで通うようになったよね。

:トントリさんの場合は、鉄道で行くルートもいくつかあって、ちょくちょくルート変えてみたけどしっくりこない感じでしたよね。にしても地下鉄にどうして違和感を覚えていたの?

:いや、やっぱり景色が見えないのは地味にストレスたまるよね。あとは鉄道のルートになるとすぐ乗り換えになって乗ってる時間がすごい中途半端になるそれがあまり落ち着かない感じで。あとは今の家が駅から中途半端に離れているけど、一方でバス停は家の前にある。だったらもう家の前からバス乗っちゃおってなる。

:なるほど。

中央区の生活を支える都営バス(撮影:かぜみな・2017年)


:小学校の頃の話をもっとすると、通っていた小学校は廃校寸前の小学校だったんだよね。一つ下から人が増え始めたけど、二つ上は欠学年だった。

:欠学年?その学年はゼロ人ってことですか……?

:そうそうそれで廃校になりかけたのよね。だから一つ上は2年間最高学年やらされて大変だったとか。

:んでもって、ぼくの学年はそれなりに人がいたんだけど、それは京葉線の方から来るやつ、域外通学がめちゃめちゃ多かったからなんだよね。

:域外通学?それって法規上大丈夫なんでしょうか…

:いや、グレーだとは思うけどね。要は中央区に住民票を置いて、それで実際は葛西とかに住んで京葉線で通ってくる。あとは門前仲町から都営バスで来たりとか。あ、あともっと遠いところだと、千葉みなと、新浦安、南行徳……

:ええ!ものすごく遠くから……

:なんかその親の中に小学校のファンが一定数いるみたいなんだよね。

:それは黙認されているということですよね。

:そうしてでも入れないと学校が潰れちゃうしね。

:なるほど。

:まぁ学校としても帰る住所っていうのは把握してるだろうしね。これは中学校の時の話だけど、やっぱり帰る住所はしっかり書いてくれって結構念押しされたものね。

:それにしても、どうしてそんなに域外から生徒が集まってくるのですか?

:うーん、それは自分の小学校に関しては今一つよくわからんのよね。銀座にある泰明小学校なんかは、結構有名人を出してるらしくて、それで人気がすごいあって、公立小学校なのに抽選がある(笑) そんなケースはある。

:公立小学校なのに抽選ってまぁこう、どこから突っ込めばいいのかという感じです。

:あとは東京駅八重洲口にある城東小学校とかは、結構出身者がその小学校が好きで、わざわざ子供を入れさせたりするとかそういう話も聞くから、自分の小学校もOB・OGの人が通わせたりしてるんじゃないかな。

:城東小学校って高層ビルに建て替えるって話題になった小学校ですね。

:そうそう。

:で、トントリ氏もバス通学しながら小学校を卒業して、こんどは中学校に行ったわけですね。これも公立の中学校ということでしたね?

:中学校は、実はぼくも越境だったんだよね。

:おお、なるほどです。これは区内の越境通学ということになりますね?

:そうそう。中学校はエリア外からの入学だったので入るときに抽選があって、それで繰り上がりで何とか入れた。

:もっと近くの中学校もあったと思いますが、どうして敢えて越境通学を選んだのでしょうか?

:純粋に出身小学校の人たちが多く進学するって聞いたからだね。でもね、いざ入ってみたらあまり小学校同じ奴がいなくて(笑) みんなもう一つの方の中学校に行っちゃってたみたいで……

:つらいエピソードですね。結構中学校でも柔軟に通う学校を選ぶ文化があるのですね……

夜景を眺めるトントリ氏近影(撮影:かぜみな・2017年)


中央区に暮らして

:そういえば、前々から気になっていたことなのですが、中央区民の人々が、例えばニトリとか家電量販店に用があったりするときって、どこで買い物をするものなのでしょうか?

:新川に住んでいたときは、京葉線で新浦安のショッパーズ(著者注:新浦安駅前のダイエーショッパーズプラザ新浦安(現在のイオン新浦安店)のこと)に行ってたね。

:意外な場所が出てきましたね。

トントリ氏がよく来ていたというダイエーショッパーズプラザ新浦安(現:イオン新浦安店)(撮影:かぜみな・2016年)


:ただ父親がむかし稲毛海岸(千葉市)に住んでいたみたいで…それで京葉線方面にはなじみがあったからという可能性は多分にあるよね。あとは結構通販で買っちゃってた。

:なるほど通販ですね。ある意味一番合理的な選択のような気がしますね……ちなみにいまはどちらで買い物をされているのでしょうか?

:うーん今は、家具だと南船橋のIKEAにいったりかな

:豊洲には行かなかったのですか?

:小学生の時にはよく遊んでたね。買い物というよりはみんなで遊びに行く場所だった。

:公園で木に登ったりキイチゴ食べたりしていたわたしの小学生時代とは全く違いますね……

:あと中学生になるとね、お台場に遊びに行ったり

:お台場ですか!?

:チャリでお台場

:自転車でお台場……お台場が近所の公園レベルですよ。そういえばコミケの時も来てくれていましたよね。あの時は徒歩で来たとか言ってたような気がします。

:そうそうお台場はそれくらい身近。大学で教授が「お台場はオノボリさんが行くところだ!」なんて冗談半分に言ってたけど、「エッ……エッ!!???」ってなった(笑)

:木場のヨーカドーで買い物をしていたという話も聞いたことがありますが

:そうだ、木場のイトーヨーカドーも行ってたな。木場のヨーカドーも、豊洲のららぽーともゲームをする場所だったよね。

:私たちの世代はよく携帯ゲーム機を自宅の外でやりましたよね。通信ケーブル持ってる奴が偉いんです(笑)。わたしの場合は基本団地の公園か地域の公園って感じでした。商業施設でというのがとても都心らしいというか、わたしの幼少期の経験とは違うところですね。

:公園でゲームやることもあったよね。中央区でも。

:あ、やっぱりそうですか。あとは近所に森や造成前の空き地があったので秘密基地ごっこをしたりもわたしはしたものですが、トントリさんはどうですか?

:そういうの憧れるよね。そういうことができる場所は中央区にはなかった気がする。

不満もあるけどやっぱり中央区が好きだった

:いま中央区には森みたいなのが無かったっていう不満があったけど、他にも中央区に対する不満はありますか?

:ぜいたくな気はするんだけど、やっぱり交通の便が悪いなと思うときはある。特に自分がかつて住んでいた新川には感じることが多かったかな。

:あの場所だと最寄り駅はどこになりますか?

:新川だと八丁堀か茅場町っていったところかな

:なるほど…どこも一長一短という感じがします。

:あとはバスで東京駅ってことになる。今住んでるところも、地下鉄の駅に出ても微妙にしょっぱい駅にしか出れなくて、結局東京駅までバスで出る方が……ってなりがちよね。そして晴海通りは渋滞がひどいので環状二号線が早く実現してほしいです!!

:なるほど(笑) 切実な意見が出てきましたね。

:晴海通りはバスの本数は多いけど、ほんとうに渋滞ですぐダイヤがめちゃめちゃになる。銀座辺りで多い路上駐車を撤去するだけでも違う気がするけど、だからこそ環状二号線は期待しているし早く開通してくれ~って思う。

:環状二号線で構想されているBRTについては期待してる?

:いや、むしろ東京行きが減らされるんじゃないかと地元では心配してるみたい。新橋や虎ノ門に連れてかれてもなぁって。

:築地の問題が意外なところで影響しているのですね。

完成はしているものの、市場問題が前進しないと供用できない環状二号線(撮影:かぜみな・2017年)


:トントリ氏は、この後実家から出て、独立するかもしれないじゃないですか。そのときに住んでみたい町とかはありますか?

:うーん……、狭いから実家は出たいけど、場所は近所で良いかなあ。

:先ほどの郊外への憧れの話があったので意外ですね。

:最初はやっぱり自分が住んでる環境と全く違う郊外ニュータウンに興味を持ったけど、最近は都心回帰の影響もあるし、結構ニュータウンの惨状(?)を聞いてみて、「あぁなんだ、地元って結構便利じゃん」ってなってきた。特に自分は実家にクルマが無くて、クルマを使うって視点が無いから余計に都心の方が便利というか、慣れてるなって感じるのはあるよね。ただ、クルマで生活することが前提になれば、それはそれでロードサイドとかは便利そうだなとは思うようになって、そういう意味では最近興味は出てきた。イオンで済むなら、そっちの方がよさそうという感じもするし。

:結構そういうロードサイドの文化に対しては批判も多くて、あるいはイオンモールしか行く場所がないみたいなことに対する批判的な論調もあると思いますが、そのあたりはどうでしょうか?

:イオン…いいけど思うけどなあ。それはそれで便利だと思うし。

ユーカリが丘(千葉県佐倉市)。同じタワーマンションでもその消費様式は都心と郊外で異なる側面がある(撮影:かぜみな・2016年)


:郊外への憧れの一方で、現実としては近所に住みたいと仰っていましたが、中央区だと2種類あって、タワーマンションに住むか、零細な下町のアパートに住むか、極端に分ければ2つの可能性があると思います。

:これねぇ……最近は建物がすべて「不動産」に見えてきちゃって……投資面でどうかとか、資産運用の面でどうかとか、そういうことばっかり考えるようになったので純粋には決められない。ただ、実はタワマンより零細な下町に土地持った方がいいと思うんだ。将来お金になりそうだな~って思う。

:なるほど。やっぱり土地を確保しておきたいと。でもトントリ氏は高層マンションとか、高層オフィスとかそういうのが好きな印象があったから、少し意外でした。

:いやほら、まぁでもタダであげるって言われたらタワマン、興味はありますよ。でもエレベータ待ちとかすごい時間かかりそうで心配です。

:心配ポイントそこか!!!! トントリ氏は、さっきまでしてきた巡検でも、「ここのビルはどこそこが作って~」であったり「ここの土地は○○不動産が持ってて~」であったり、土地の権利関係などにフォーカスしてることが多かったように思うのですが、その辺ってやっぱり意識してるのでしょうか?

:うーんどうかなぁ。

:わたしはいままであまりそういったことを気にしてこなかったので不思議な感じがします。高層建築が好きであることも含めて、やはり住んでいた環境によるのでしょうか。

:それはフェティシズムに関わる話なのであまり深堀りしないでおきましょう。

:! それはそれは……こんど詳しく聞かせてください。

トントリ氏は高層建築にいったいどういうフェティシズムを感じるのだろうか(撮影:かぜみな・2017年)


 ということで、トントリ氏に中央区に住んで思ったことなどを断片的ながらも聞くことができました。彼のフェティシズムの話は非常に気になるところですが、とにかく、中央区民が思うこと、都市観、などは見えてきたのではないかと思います。彼は今後も中央区民として、変貌する中央区を見守っていくことと思います。また20年後にでも、同じ質問をぶつけてみたい、そんなインタビューでした。

【今回利用した喫茶店】

エクセルシオールカフェ 晴海トリトン店

晴海トリトンスクエア内のモールを見下ろすことのできるカウンター席が魅力的。買い物にオフィスにいきかう人を見下ろしながら飲むコーヒーはちょっとだけ特別な気分になれます。電源やWi-Fi類、ケーキなども充実。

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渦森 うずめ

都市という現実の中に漏れ出す夢や理想を商業空間に見出して遊んでいます。逆にコンテンツという夢や理想から現実を救い上げるのもすき。つまりは理想と現実を渡り歩く放浪者(?)。消えそうなファーストフードチェーン「サンテオレ」を勝手に応援中。