【インタビュー】「眺めたり作ったりで気が付くと20時間くらい経っています」まちづくりゲーム愛好家が魅力を語る!―まちづくりゲーム対談(前編)

まちづくりというのはどうしても固く、手の届かないところの話になりがちです。
でも、ゲームの世界でまちづくりができたら、自分の実感を持ってまちづくりができると思いませんか。
そこで「まちづくりゲーム対談」と題して、ゲームをそこまでやらない編集長・鳴海がまちづくりゲーム大好きな2人を招いて大いに語っていただくことにしました。今回は「まちづくりゲームの世界」についてお2人に紹介していただきます。

対談者

わくせん:レトロ団地とレトロ自販機をこよなく愛し各地を飛び回る「シムシティ」シリーズの愛好家。

夕霧もや:各地の電車混雑と各地のまちなみを眺めて回る「A列車で行こう」シリーズの愛好家。

鳴海行人:まちづくりゲームはすぐに飽きてしまうmatinote編集長。

まちづくりゲーム遍歴:「シムシティ」シリーズと「A列車で行こう」シリーズ

鳴海:今日はまちづくりゲームというテーマで大いに話したいと思います。私はまちづくりゲームがあまりわからないので、まずお2人のゲームの遍歴からお伺いしたいと思います。

わくせん:私がゲームのジャンルに限らず初めて触れたのが初代「シムシティ」でした。PCゲームで、対応するOSはWindows3.1でした。

鳴海:いきなりすごい単語が出てきましたね。かなり昔のOSじゃないですか。

わくせん:当時はフロッピーディスクをAドライブに入れて起動するタイプのものでした。これに触れたのは3~4歳くらいのときで、祖母の家でやっていました。祖母の家に住んでいた叔父が当時電気系のメーカーに勤めていて、家にも早くからパソコンが導入されていたんですね。それで、祖母の家に行くと挨拶もそこそこに叔父の部屋に行ってPCにのめりこんでいました。いま思うとあまり孝行じゃない孫でしたね。(笑)

 
初代シムシティ ©Maxis Software/Electronic Arts

初代シムシティ ©Maxis Software/Electronic Arts

 

鳴海:私は小学校で初めてPCに触ったので、比べると随分早いですね。

わくせん:確かにそうかもしれません。そして、「シムシティ」の次は家にあったスーパーファミコンで「シムシティ2000」をやっていました。これにのめりこみずぎて、今度はPlayStation版の「シムシティ2000」をプレイします。そして、次にプレイしたのが「シムシティ」シリーズ最高傑作と言われる「シムシティ4」です。今度はPCソフトでしたが、またこれが「このソフトをまともに動かせる家庭用のパソコンは存在しない」と言われるほど重いソフトでして。(笑) 実際自宅のパソコンでは当時全然動かなかったです。

鳴海:なるほど。(笑) その「シムシティ4」は何年に出たんですか?

わくせん:2003年ですね。その後は発売間隔が開いて2007年に「シムシティソサエティーズ」、2013年に「シムシティ(2013)」が発売されます。これが最新版ですが、「シムシティ4」が長く遊ばれていました。

鳴海:「シムシティ4」はだんだんパソコンのスペックが追い付いてきて長く遊ばれた感じですか。

わくせん:そうですね。発売後しばらく経って急に動画サイトでプレイ動画が盛り上がるという面白い現象もありました

鳴海:えっと、そうすると、わくせんさんは10年間ずっと「シムシティ4」で遊んでいたのですか。

わくせん:いいえ。「シムシティ」シリーズの派生版ゲームや「A列車で行こう7」と「A列車で行こう9」もプレイしていました。

 
夕霧氏が「A列車で行こう9」で作ったまち ©ARTDINK

夕霧氏が「A列車で行こう9」で作ったまち ©ARTDINK

 

鳴海:ここで「A列車で行こう」シリーズが出てくるのですね。では、「A列車で行こう」愛好家の夕霧さんのゲーム遍歴をお伺いしたいと思います。

夕霧:ゲームの前にパソコンの話からすると、私も3~4歳の時から触れていました。その頃からゲームに対する興味はありまして。そして「鉄道ファン」誌の広告で「A列車で行こう6」というソフトを知ります。PlayStation2で動くゲームで、グラフィックがとてもきれいだと思いました。そこでソフトとゲーム機をセットで親にねだって買ってもらいました。これはちょうど小学校に上がるときくらいでしたね。

鳴海:私も小学校上がるときにNINTENDO64を買ってもらいましたね。そういうのありますよね。買ってもらう節目みたいなの。わくせんさんの家はどうでしたか?

わくせん:我が家は親もゲームをするので、ある日突然親が買って帰ってきましたね。

夕霧:なるほど……。私の話に戻すと、「A列車で行こう」というのは鉄道系のゲームでして。特に「A列車で行こう6」は鉄道に特化していて、ただ鉄道を敷いてダイヤを作るゲームでした。まちづくり要素というと「このエリアは住宅エリアにします」といった指定くらいしかできませんでしたね。

鳴海:あ、「A列車で行こう」シリーズは鉄道系ゲームに特化していた時期があるんですね。

夕霧:そうです。「A列車で行こう6」は3年くらいやっていました。そして「A列車で行こう2001」という続編が出て、今度はそれをしばらくやっていました。それが小学生の時の話ですね。そして中学生になるころに「A列車で行こう7」が出ます。ここで一気にゲームシステムが変わるんですね。「A列車で行こう6」では3Dのリアル寄りの車両が動いていたのですが、「A列車で行こう7」になると、今度は斜めに見下ろしつつ、プラレール的な見え方のする世界になります。さらにまちもつくるという世界になっていきました。このときに子会社システムが復活(注1)して、デパートとか作れるようになりました。そして「A列車で行こう7」と同じシステムかつグラフィックが3Dになる「A列車で行こう8」が出ます。
注1:「A列車で行こう」シリーズでは「A列車で行こう5」まで子会社を作る仕組みがあったそうです。

 
夕霧氏が「A列車で行こう8」で作ったまち ©ARTDINK CORPORATION

夕霧氏が「A列車で行こう8」で作ったまち ©ARTDINK CORPORATION

 

鳴海:こちらはちょくちょくとバージョンアップしていきますね。最新バージョンは「A列車で行こう8」ですか?

夕霧:いえ、さらに「A列車で行こう9」が出ます。このときはゲームそのものも、プレイスタイルもほとんど変わっていないですかね。ただ、やれることが増えました。それからグラフィックもリアルになりましたね。

わくせん:グラフィックは没入感を得るのに重要ですね。

夕霧:そうですね。とてもそう思います。

 
夕霧氏が「A列車で行こう9」で作ったまち ©ARTDINK

夕霧氏が「A列車で行こう9」で作ったまち ©ARTDINK

 

鳴海:なるほど、ありがとうございます。ちなみに現在もお2人は「シムシティ」シリーズあるいは「A列車で行こう」シリーズをメインにプレイされているのでしょうか。

わくせん:いえ、2015年に発売された「cities:skylines」というゲームをプレイしています。

夕霧:私もですね。「A列車で行こう」もやりつつ「cities:skylines」をやっています。

鳴海:あ、これは私も少し触ったことのあるゲームです。フィンランドの会社が開発したゲームでしたよね。

まちづくりゲーム好きの2人が新しいまちづくりゲームに移ったワケ

鳴海:「cities:skylines」についてお2人のゲームの楽しみ方も含めて少し話してみたいと思います。やっぱり「cities:skylines」は自由度高いから面白いのですか?

夕霧:そうですね。MODを入れて色々なことができるので、ユーザーが自由に楽しめると思います。私はそこが気に入っています。

 
夕霧氏の作った「cities:skylines」のまち  ©Colossal Order/Paradox Interactive

夕霧氏の作った「cities:skylines」のまち  ©Colossal Order/Paradox Interactive

 

わくせん:確かにそれは大きいですね。あとは「シムシティ(2013)」だとゲームの作りにちょっと不満もありましたし。

鳴海:おっと、ひとつずつ聞いてみたいですね。まず、MODってなんですか?

夕霧:ゲーム内に公式にはない建物や鉄道車両などといったものをユーザーが勝手に作って勝手に追加するものです。「シムシティ」や「cities:skylines」は開発・販売側がアップロードする場所を用意しています。そしてユーザーがアップロードしたものをほかのユーザーが使えるというシステムになっています。

わくせん:パソコンゲームでは結構MODがあって、ゲームを自分でカスタマイズするみたいな感じですね。例えばシューティングゲームではキャラクターをアニメのキャラに変えたりとか、難易度をすごく上げたMODを導入したりします。

鳴海:なるほど。そして、「シムシティ(2013)」の不満点というのはなんですか?

わくせん:不満というより、ちょっと思っていたのと違うとユーザーに受け取られたところが多かったと思うのです。

鳴海:そこはどういったところですか?

わくせん:シムシティ(2013)」はよりリアルなシミュレーションになって、グラフィックもよくなったのですが、ちょっとシミュレーションプログラムの練りこみが甘くて。当初は市民に個別にIDを割り振り、それぞれの需要や供給を割り振ってシミュレーションできるというのがウリでした。例えばある人は通勤でバスに乗る人もいれば地下鉄に乗る人もいるという具合にですね。しかし、AIの練りこみが甘く、仕事の求人が1出ると、全求職者がそこに押し寄せるようになっちゃったのですね。いうなれば全市民対抗椅子取りゲームになってしまいました。そうすると、交通がうまくコントロールできなくなってしまいます。それから、重要なポイントで新しい概念が出てきたことも大きかったですね。プレイスタイルが大きく変わってしまうので。

鳴海:なるほど。それはちょっと辛いかもしれないですね。

わくせん:これまでも「シムシティ」シリーズ内で「リアルとのずれ」というのは当然ありました。でもそこは愛する点だったのです。しかし、ここで愛するとは少し別のタイプのずれ方をしてきてしまったのが大きかったですね。そして、そのタイミングで出てきたのが「cities:skylines」です。ゲーム内容が「シムシティ」のプレイヤーのニーズにあっていたので、みんなこちらに移ってしまいました。そして、「シムシティ」を作っているスタジオが閉鎖されてしまうことになります。

鳴海:ええ!まちづくりゲーム業界も大変ですね……。

まちづくりゲームの最先端!「cities:skylines」を見てみよう

鳴海:では、お2人が共通でプレイしている「cities:skylines」の画面を見てみたいと思います。今回は夕霧さんのマップをご用意していただきました。

 

夕霧氏の作ったまちです。画像のエリアは横浜駅をモチーフにしているそうです。(「cities:skylines」より) ©Colossal Order/Paradox Interactive

 

夕霧:このマップは横浜をモチーフにしています。去年くらいから作っています。

鳴海:なんか横浜には実際ない、連節バスが走っていませんか……?

夕霧:ええ。これはスカニアの連節バスですね。ほかにもMODで色々入れていますよ。

 
画像下部に停車中のバスがスカニア社モデルの連節バス(「cities:skylines」より ©Colossal Order/Paradox Interactive )

画像下部に停車中のバスがスカニア社モデルの連節バス(「cities:skylines」より) ©Colossal Order/Paradox Interactive

 

鳴海:スカニア……新潟で走っている連節バスですね。お、横浜市営バスも走っていますね。そういえば、マップ全体でみると道路をあんまり敷かずに鉄道が多い印象を受けました。これは愛好しているゲームは関係あるのでしょうか

夕霧:あると思います。私は鉄道を多く敷きたいタイプなので、つい鉄道を敷いてしまいますね。

わくせん:え、「cities:skylines」の鉄道ってものすごくコストパフォーマンスが悪くないですか。

夕霧:見栄え重視です。(笑)

鳴海:おや、鉄道はコストパフォーマンスが悪いのですね。

わくせん:北欧で作られたゲームなので、鉄道というと高速鉄道ということなんだと思います。維持管理コストがすごい高いんですよね。都市内交通は地下鉄にしてくれということなのかなと思っています。

鳴海:夕霧さんは地下鉄を敷いたのですか?

夕霧:地下鉄は画面の見えるところに出てこなくて面白くないので、地上に鉄道を敷きました。ちなみにトラムもありますよ。関内に当たる場所に走っています。

鳴海:鉄道を敷く夕霧さんとは対照的にわくせんさんは道路を結構作るのですか。

わくせん:そうですね。ジャンクションとか好きです。例えばこんなものを作りました。

 

わくせん氏が作ったジャンクション。複雑な構造です(「cities:skylines」より) ©Colossal Order/Paradox Interactive

 

わくせん:個人的には天保山と大黒を足して2で割ったような感じをイメージして作りました。

夕霧:これすごい。いいなぁ、面白いです。

鳴海:なんか大変そうで、作るのに頑張ったんだなぁと思いました……。

 
わくせん氏の作った駅。画像のキャプチャの仕方ではこんな1カットも見ることができます(「cities:skylines」より ©Colossal Order/Paradox Interactive )

わくせん氏の作った駅。画面のキャプチャの仕方ではこんな1カットも見ることができます(「cities:skylines」より) ©Colossal Order/Paradox Interactive

 

わくせん:それから、この画像は結構好きです。

鳴海:とてもリアルに見えます。

夕霧:これもいいですねぇ。

鳴海:実際に電車がやって来ていそうです。

 
病院から一斉に救急車が出動していく様子(「cities:skylines」より ©Colossal Order/Paradox Interactive )

病院から一斉に救急車が出動していく様子(「cities:skylines」より) ©Colossal Order/Paradox Interactive

 

わくせん:ただ、ゲームなのでこんなことも起きます。すぐこうなる。(笑)

夕霧:なりますね。これ、病院を作ると救急車が一斉に出動して渋滞するんですよね。

 
わくせん氏の作ったまちの「野毛山」から見たまちの眺め(「cities:skylines」より ©Colossal Order/Paradox Interactive )

わくせん氏の作ったまちの「野毛山」から見たまちの眺め(「cities:skylines」より) ©Colossal Order/Paradox Interactive

 

わくせん:横浜で思い出したんですけど、こんなマップを作りました。山は野毛山って名前を付けて、奥には北幸・南幸とか高島という地名をつけましたね。

鳴海:地名もつけたんですね。こういう展望台あったら行きたいです。

わくせん:最近は団地の名前からとって地名をつけています。

鳴海:それは面白いですね。さまざまなまちのシーンや姿が見れるという魅力が伝わってきました。

夕霧:まちが回っていく風景をただ眺めているのが好きなんですよね、たぶん。

わくせん:例えば、バスと鉄道を乗換する人だけで1時間見ていられる。

夕霧:そうそう。駅からバス、バスから駅を見るのが面白い。最高ですね。

鳴海:おお、そういう興味ポイントで似通うところもあるのですね。ちなみに長い時はどのくらいプレイされたのですか?

わくせん:まちづくりゲームは時間を吸い取っていくゲームなので、眺めたり作ったりで気が付くと20時間くらい経っています。今までまちづくりゲームはトータルで1千時間くらいプレイしたかもしれません。

鳴海:ええ!?うそ!?

夕霧:誇張じゃないと思いますよ。1日はあっという間に経ちますね。

わくせん:学生のときは24時間ぶっ通しでやっていたこととかあります。本当に寝食を忘れてというのがあてはまるゲームだと思います。

夕霧:なんで始めると時間が経つのがあんなにも早いんでしょうね……(遠い目)

鳴海:その間に家族は何も言わないのですか……。

わくせん:大学生だと言われなかったかな。

夕霧:食事だけもそもそ食べに出たり、トイレ行ったりはしますよ。だから特に何も言われませんね。

わくせん:(ゲーム内で)お金も尽きたしじゃあ飯でも行きますか、みたいな感じでご飯食べますね。

鳴海:私はそういう経験がないのでびっくりしてしまいました。では、次回、かなりの時間を使ってまちづくりゲームをやってきたであろうお2人に、まちづくりゲームと実際のまちのつながりについてお話ししていただきたいと思います。

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鳴海 行人
matinote仕掛人・ライター・マネージャー(編集長) 90年生まれのまち探訪家。 地域を俯瞰的に見つつ、歴史を掘り下げて現在の姿への系譜を探りながら、まちを観察をしています。地誌・地方都市・総合交通体系・ロードサイド・観光・空間デザインなど様々な視点を駆使し、まちを読み解くことがひとつの楽しみです。