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仙台市中心部の商業エリアは2核構造。2つの核とアーケード通りを見る

 宮城県仙台市は約100万人の人口を抱える、東北地方最大の都市です。そんな仙台は長らく東北地方を代表する商都として栄えてきました。近年では地下鉄東西線の開業や仙台駅西口に開業した「仙台パルコ2」が話題となるなど、その拠点性はさらなる高まりを見せています。
 そんな仙台中心部は、商業の集積という視点から見ても非常に大規模でかつ広がりの大きいエリアでもあります。今回はその姿を読み解く入口として、まずは市街地の様子からみていきたいと思います。

 
仙台市中心部の地図

仙台市中心部の地図 (作成:鳴海行人) (OpenStreetMapを元に作成) ©OpenStreetMap contributors

 

大型テナントビルが集中する東の商業核・仙台駅前

 仙台駅に降り立ち、人の流れに沿って外に出ると西口に出ます。駅前には大きなペデストリアンデッキが目立ち、ここは宮城県内ローカルのテレビでお天気中継などに用いられることもある仙台駅前の象徴的な場所です。

 ペデストリアンデッキを南に向かうと、その左手には駅ビル「エスパル」、右手には仙台市内各地へ向かうバスのターミナルがあります。エスパルはJR東日本の駅ビルらしく、観光・ビジネス客向けの買い物施設だけではなく、ファッション・生活雑貨のテナントも充実しているのが特徴的です。

 バスターミナルの正面には「パルコ2」、「EBeanS」(イービーンズ)が立ち並びます。パルコ2は最近できた商業施設で、それまでは平面駐車場をはじめとした低次的な利用が為されていた場所でした。そしてEBeanSは、アニメイトをはじめとするアニメショップ、ソフマップ、ボークスショールームなどのサブカル要素の強いビルとして知られています。一方でGU、ユザワヤ、HMVといったテナントも入っており、マニアックになりすぎないバランスの良いテナント構成で若年層の支持を集めています。

 
EBeanSは東日本大震災の影響で一部減築を行った (撮影:鳴海行人・2015年)

「EBeanS」は東日本大震災の影響で一部減築を行った (撮影:鳴海行人・2015年)

 

 再びバスターミナルに戻り、その北側に目を向けるとLOFTの看板が目立ちます。ここが仙台ロフトで、2003年に「ams西武(西武百貨店系)」の閉店後にオープンしたものです。

 そこから北に向かい青葉通を挟んだ先の西側にある大きな建物が旧さくら野百貨店です。ここは1953年に開業した地場百貨店「丸光」をルーツに持つ百貨店でしたが、2016年に運営会社の破綻により閉店となり、現在は空きビルの状態が続いています。

 そしてペデストリアンデッキの一番北側にはパルコと再開発ビル「AER」(アエル)があり、31階建てのアエルの展望台からは仙台市街を見渡すことができます。

 
仙台駅東口から北方向を見る。右が仙台駅舎、左の奥にはパルコとアエルが見える (撮影:鳴海行人・2015年)

仙台駅東口から北方向を見る。右が仙台駅舎、左の奥には「パルコ」と「アエル」が見える (撮影:鳴海行人・2015年)

 

仙台駅前から長く伸びる商店街

 アエルの向かいにはアーケード商店街が延びています。駅の側から「ハピナ名掛丁」、「クリスロード」、「マーブルロードおおまち」と名付けられた3つの商店街から成り立っていますが、ほぼ一体となっており「中央通り」と総称することもあります。普通は奥へ行くほど人通りが少なくなるものですが、むしろどこも人通りが多く、道の両側に飲食店やアパレル、ドラッグストアが数多く立ち並びます。

 
クリスロードの様子。仙台七夕の時期になるとこのように大きな七夕飾りを見ることができる (撮影:鳴海行人・2012年)

「クリスロード」の様子。仙台七夕の時期になるとこのように大きな七夕飾りを見ることができる (撮影:鳴海行人・2012年)

 

 そしてクリスロードを進んだ左手に「イオン仙台店」があります。ここは以前ダイエーだったところで、現在も中心部の大型総合スーパーとして人を集めています。
 イオンの少し奥(西)で東二番丁通りを渡ります。この通りは旧国道4号線でもあった通りで、クルマで仙台市中心部を抜ける際、南北の軸となる道路です。そのため、クルマだけではなく、バスも非常に多く通る通りです。近くの「電力ビル前」バス停は乗り場が何カ所もあり、次々とバスが発着していきます。

 その東二番丁通りからさらに奥(西)に向かうとアーケードがぷっつりと切れるのがわかります。その切れる手前にある十字路で南北に延びるアーケードと交差しています。

 
「藤崎」本館の北西にある角で「マーブルロードおおまち」と「ぶらんどーむ一番町」、「サンロード一番町」が交わる(撮影:鳴海行人・2015年)

「藤崎」本館の北西にある角で「マーブルロードおおまち」と「ぶらんどーむ一番町」、「サンロード一番町」が交わる(撮影:鳴海行人・2015年)

 

 アーケードが交わる十字路の南東に立つのが地場百貨店「藤崎」です。東北では最も売り上げの多い百貨店で、市民にも親しまれる場所となっています。現在は地下鉄東西線の青葉通一番町と直結していますが、以前は仙台駅から約700m強という位置にあり、大型店舗としては一見不利な立地条件でした。しかし、先ほど書いたとおり電力ビルバス停が近くにあることや歴史的背景から近年はずっと東北一の百貨店としてこの場所で営業しています。

 
青葉通一番町駅側から見た「藤崎」本館 (撮影:かぜみな・2018年)

青葉通一番町駅側から見た「藤崎」本館 (撮影:かぜみな・2018年)

 

仙台市街の西の商業核・一番町

 今度は藤崎の西を南北に通るアーケードに目を移しましょう。ここは一番町と呼ばれるエリアで、南は青葉通から北の定禅寺通まで約700m伸びています。高い屋根で高級感のある通り沿いには先述した藤崎をはじめアップルストアなどブランドの店舗もあり、またお正月の風物詩「仙台初売」で必ずテレビに取り上げられる「お茶の井ヶ田一番町本店」もここにあります。

 
お茶の井ヶ田一番町本店で行われる初売りの様子 青葉通一番町駅側から見た「藤崎」本館 (撮影:夕霧もや・2018年)

「お茶の井ヶ田」一番町本店で行われる初売の様子  (撮影:夕霧もや・2018年)

 
「ぶらんどーむ一番町」はお洒落な雰囲気の商店街だ (撮影:鳴海行人・2015年)

「ぶらんどーむ一番町」はお洒落な雰囲気の商店街だ (撮影:鳴海行人・2015年)

 

 アーケードが一旦切れる広瀬通を渡る交差点の南東側にあるのが「仙台フォーラス」です。フォーラスはイオンのファッションビルとしても知られますが、地下には地権者テナントとして学生に人気の「北京餃子」やライブハウスもあり、独特の空間を構成すると共に、建物前は「ラス前」として待ち合わせスポットにもなっています。また、近くには高速バスのバス停「広瀬通一番町」があり、東北一円から仙台にやってくるバスがここで停車します。そのため、仙台フォーラスは一時期県外客が非常に多い時期があったそうです。

 
広瀬通からぶらんどーむ一番町を見る。写真の左側には「仙台フォーラス」がある (撮影:鳴海行人・2015年)

広瀬通から「ぶらんどーむ一番町」を見る。写真の左側には「仙台フォーラス」がある (撮影:鳴海行人・2015年)

 

 そして広瀬通を渡ると一番町四丁目買物公園(一番町四丁目商店街)になります。ここは両側に片屋根式アーケードを連ねたところで、小規模な店舗が多いのが特徴的です。
 その買物公園の奥にあるのが「仙台三越」となります。ここは本館と定禅寺通り館から成り立っており、定禅寺通り館は以前は「141ビル」として親しまれていました。

 
一番町四丁目買物公園は両サイドに片屋根式のアーケードとなっている (撮影:鳴海行人・2015年)

「一番町四丁目買物公園」は両サイドに片屋根式のアーケードとなっている (撮影:鳴海行人・2015年)

 
勾当台公園側から見た「三越」。左は三越定禅寺通り館(141ビル) (撮影:鳴海行人・2015年)

勾当台公園側から見た「三越」。左は「三越定禅寺通り館(141ビル)」 (撮影:鳴海行人・2015年)

 

 三越は仙台市営地下鉄南北線の勾当台公園駅と直結しており、勾当台公園駅周辺には数々のイベントが行われる「勾当台公園」のほか、仙台市役所や宮城県庁があり、その西側(一番町買物公園よりさらに西)には南北に国分町通りが通っています。ここは東北一の歓楽街と言われ、たくさんの居酒屋やパブ・スナックの入ったビルなどがあり、夜は非常ににぎわいます。

 
夜は多くの人でにぎわう国分町 (撮影:夕霧もや・2014年)

夜は多くの人でにぎわう国分町 (撮影:夕霧もや・2014年)

 

全国でも有数の「人が歩く」まち

こ こまで仙台の中心街の商業エリアをざっと見てきましたが、大変ボリュームがあることがおわかりでしょうか。ほぼL字型に中心街の商業エリアが形成され、仙台駅前から三越までは1.5kmあり、仙台市営地下鉄南北線でも2駅分あります。この間はずっと人通りの絶える事はありません。そう考えると、全国でも有数の「人が歩く」まちとも言えそうです。

 
中央通り交差点の様子。駅から離れた場所でもアーケードでつながっている場所は人通りが多い (撮影:鳴海行人・2012年)

中央通り交差点の様子。駅から離れた場所でもアーケードでつながっている場所は人通りが多い (撮影:鳴海行人・2012年)

 

 次回からはこのボリューミーな商業エリアをいくつかに分け、それぞれのエリアの成立背景や現状について探っていきたいと思います。

参考文献

仙台市HP:https://www.city.sendai.jp/(2018年6月22日最終閲覧)
藤崎HP:http://www.fujisaki.co.jp/(2018年6月22日最終閲覧)
仙台三越HP:https://mitsukoshi.mistore.jp/store/sendai/index.html(2018年6月22日最終閲覧)
仙台フォーラスHP:https://www.forus.co.jp/sendai(2018年6月22日最終閲覧)
三橋重昭(2012)「都心商業の輝きと東北復興の拠点――仙台市中央通り連合会」『専門店』(732),p.58-61.
仙台経済界編集部(2004)「中心部商店街の進むべき方向とは」『仙台経済界』21(1),p.102-107.
週刊ダイヤモンド編集部(1996)「名物「安売り」に異変、七商店街の連帯」『週刊ダイヤモンド』84(42)(3652),p.69-70.
日経MJ(流通新聞)「さくら野百貨店仙台店、運営会社が自己破産申請、周辺施設と競争激化。」2017/03/01付
日本経済新聞地方経済面東北「「仙台パルコ2」7月開業、1年目70億円販売狙う、84店入居。」2016/04/19付
日本経済新聞地方経済面東北B「94店が仙台初出店、パルコ、来月23日開業、30-40代女性も念頭」2008/07/23付
日本経済新聞地方経済面東北B「パルコ、仙台に出店、駅西口再開発ビルに2007年。」2004/07/30付
日本経済新聞地方経済面東北B「ロフト、アムス西武跡に大型店、12月初め開業――主婦層も視野に。」2003/10/15付
日経流通新聞「仙台市の再開発ビル「アエル」、一括売却→売り切り→賃貸→家賃下げ、ようやく開業」1998/04/02付
日本経済新聞朝刊「第9話魅力の研究(51)見せる見られる緊張、歴史と現代織りなす調和(都市)」1995/11/20付

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鳴海 行人
matinote仕掛人・ライター・マネージャー(編集長) 90年生まれのまち探訪家。 地域を俯瞰的に見つつ、歴史を掘り下げて現在の姿への系譜を探りながら、まちを観察をしています。地誌・地方都市・総合交通体系・ロードサイド・観光・空間デザインなど様々な視点を駆使し、まちを読み解くことがひとつの楽しみです。