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「そごうのその後」出版記念トークライブ イベントレポート

 1月28日、トークライブハウス「高円寺Pundit」にて、matinote編集部のかぜみな・鳴海行人と、扇風機評論家・流通産業愛好家の星野祐毅さんの3名による「そごうのその後」出版記念トークライブが行われました。今回はその模様をレポートとしてお届けしたいと思います!

 まずは軽く前提知識を。「そごう」は、かつて隆盛を誇った百貨店チェーンです。債務超過が原因で2000年に経営破綻し、現在はセブン&アイグループの百貨店、「そごう・西武」として営業しています。
 そして、「そごうのその後」は、かぜみな氏が経営破綻前に存在した「そごう」の国内全29店舗がその後どうなったかを追いかけた同人誌です。その出版記念トークライブということで、まさに「そごう」づくしの内容でした。

 
プライバシー保護のため、顔の部分には特殊な加工を施しました(撮影:夕霧もや・2017年)

プライバシー保護のため、顔の部分には特殊な加工を施しました(撮影:夕霧もや・2017年)

 会場に入ると、いきなり耳に飛び込んできたのはFM YOKOHAMAで放送されていた横浜そごうのCM。開幕前からそごう全開です。そうこうしている内にイベントがスタート。
 はじめに、誰もが気になる「なぜかぜみな氏は『そごう』沼に落ちていったのか」についての話が語られました。 
 彼は元々地図が好きで、出身地の地図を眺めていたら、駅前の商業施設の形が今と昔で変わっていると気付いてしまいました。これが最初のきっかけだったそうです。その施設の歴史を調べたところ、過去に「そごう」だったことが判明しました。
 ここでひとつの疑問が生じます。「なぜここに百貨店が立っていたんだろう……?」。そのまちは、百貨店の基本的な立地条件を満たしているとは思えなかったといいます。この疑問がきっかけとなり、かぜみな氏は「そごう」沼への一歩を踏み出すこととなりました。

……なんというか、逃れられない「因果」のようなものを感じます。

 そのまま、興味を持つきっかけになった「そごうの出店計画」へと話は移ります。会場が盛り上がったのが、「無茶な出店計画」についての話です。東京の郊外、多摩地域では多摩センター・南大沢・橋本・八王子と、半径10km程度の範囲に4店舗を出店する計画があったというのです。(橋本を除き、実際に出店されました。) 
 だって、見ているとだんだん、そごうマークにみえてきませんか……ほら……。

右下、町田あたりにそごうがあれば魔方陣が完成するのでは……? (OpenStreetMapを元に作成) © OpenStreetMap contributors

右下、町田あたりにそごうがあれば魔方陣が完成するのでは……? (OpenStreetMapを元に作成) © OpenStreetMap contributors

 こんな感じで客席も一体となって盛り上がってきたところで、「そごうの世界観」の話へと移ります。
 そごうのキャッチフレーズ・店内の特徴的な設備(エスカレーターやエレベーター、からくり時計など)の話になりました。会場にはそごう慣れしている方もおり、しばしば「これだよ!」といった賛同の声も聞こえました。
 ひとしきり「そごう」ワールドを見たところで、一旦休憩に。ところで、この日に限っては会場のPunditが「高円寺そごう」になるということで、いろんなものが「そごう」づくしでした。例えばこんなものたち。

・「そごう」ライス

当日の目玉メニューです。

 
※写真を撮り忘れたので、画像はイメージです。フリー素材の「オムレツ」を探してきて、かかっているケチャップを取って上にマークを書くだけの簡単レシピ!

※写真を撮り忘れたので、画像はイメージです。フリー素材の「オムレツ」を探してきて、かかっているケチャップを取って上にマークを書くだけの簡単レシピ!

 百貨店で「ライス」と言えば、かつて阪急百貨店の大食堂ではお金のないサラリーマンがライスだけを注文してソースをかけて食べていたという逸話を思い出したりもします。
 ならばこちらはケチャップで対抗……!と思いましたが、今はそごう・西武と阪急百貨店は提携関係になったんでした。友好のメニューということで。

・「そごう」シャツ

 この日、司会の星野さんが着ていたのは「そごう」シャツ。

 
そごうマークのシャツ※画像はイメージです

※画像はイメージです

 イカしてますね。星野さんによれば200円で作ったそうで、コストパフォーマンスも抜群。ちなみに、そごうで材料を買って作ったらいくらになるのだろう……

・本の紹介(ポエム)もどことなくそごう
会場内書籍コーナーでは「そごうのその後」を販売していたのですが、謳い文句のポエムもどことなくそごうです。(撮影:夕霧もや 2017年)

会場内書籍コーナーでは「そごうのその後」を販売していたのですが、謳い文句のポエムもどことなくそごうです。(撮影:夕霧もや 2017年)

 さて、休憩明け。がらりと話題が変わって、「そごうの経営」についての話になりました。
 そごうを語る上で欠かせないのが、一代でそごうを大百貨店チェーンに育て上げた水島廣雄社長です。社内では「天皇」とも崇められていた水島社長に関する逸話は尽きません。
 一方、あまり話に上がらないキーパーソンとして、そごうの労働組合委員長だった藤野秀夫氏という人物がいました。彼については主に週刊誌のスキャンダル記事での話題が豊富です。水島氏と強い繋がりを持ち、「日本でもっとも権力を持った課長」として腕を振るったと言います。
 このあたりは相当にディープで、中々語られない話です。さらに、時折差し込まれる藤野・水島両氏の「名言」の数々に、客席は大盛り上がり。

 そして第3部では、いろんなそごうを見ていきます。3名の登壇者がそれぞれ語ってくれました。
 まず、鳴海氏は昔から馴染みのある「横浜そごう」と、今も往年の姿を残す「川口そごう」を紹介してくれました。川口そごうは食堂フロアに「流れる川」が残っていたり、店舗のたたずまいがまさに「そごう」を体現しており、是非一度訪れてほしいとのことです。わたしもちょっと行きたくなりました。
 続いて星野さんが郷里・「札幌そごう」について語ります。店舗撤退後は紆余曲折を経てビックカメラとして建物を使用しているのですが、「10年経ってもあそこは雰囲気がそごう」とのことです。これが地元民の感覚、というかそごうの個性が強すぎるのでは……。

 
札幌そごう跡のエスタ。ようやく雰囲気が「ビックカメラ」になってきたというのに、残念ながら建て替えの計画が。(撮影:かぜみな 2013年)

札幌そごう跡のエスタ。ようやく雰囲気が「ビックカメラ」になってきたというのに、残念ながら建て替えの計画が。(撮影:かぜみな 2013年)

 そして最後に、かぜみな氏が3店舗を一気に語ります。まずは、建設の時に遺跡を埋めてしまったという噂がある「奈良そごう」。ここで、かぜみな氏と星野さんは「奈良そごうの”R”」の話で盛り上がります。星野さんが「あっ、この「正面の曲線」がそごうっぽいね!」というと、かぜみな氏は「おっ星野さんさすが、分かってきましたね~~」と妙にうれしそう。建物の角、局面の半径に店舗ごとの個性が出るから見れば分かる、というのです。絶対音感みたいですね。
 次に、「茂原そごう」。ここも百貨店が立地するには少々圏域人口が少なく、「そんなところにあったのか!」と思わせる店舗です。現在はフロアの1階を少しだけ拝借してセブンイレブンが開店していたり、かつての入口部分に商品を並べて露店のように営業しているテナントがあったり、フリーダムな跡地利用がなされているようで。かぜみな氏は、この地で営業しているところを是非見たかった……と目を輝かせながら言っていました。
 そして最後に「千葉そごう」。現在も営業する旗艦店舗です。ここの特徴は壮大な立体駐車場。「この立体駐車場を制覇するには少なくとも2回車で訪れないといけない」とのこと。その理由は……現地でぜひ確かめてください!

 楽しい時はあっという間にすぎるもので、BGMの「蛍の光」が流れる中(演奏・鳴海)「高円寺そごう」閉店の時間となりました。百貨店の、「そごう」の楽しみ方を存分に味わえたように思います。

みなさまも是非お近くの、あるいは旅先の「そごう」、訪れてみてはいかがでしょうか。

 そして、次のイベントも決定しました!今度は「コンビニ」をテーマとしたトークライブで、3/25に高円寺パンディットでの開催です。そごうとはまた違った雰囲気になるとのことで、出演陣に期待がかかるところです(圧力)

 興味を持たれた方は、どうぞいらしてみてください!詳細は以下のリンクから。

3月25日(土)『御存知!パンディット経済大学!第2限はコンビニで勝負だ!』 ※前回は「そごう」(デパート)のことだけ、やりました。

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てぃえくす (旧 夕霧もや)

ラッシュアワーの秩序ある混沌を観察する人。大きな都市の朝の風景はどこも滾ります。  旅で追いかけるのは「まち」の「一瞬」。通勤・通学で混み合う交通機関や、買い物客で賑わう商業施設。その「まち」でどのように機能しているのか観察するのが楽しいです。 あと、ご当地の甘いものに目がありません。名物も地元で愛されているものも、気になったら食べに行きます。