師走に入り、忘年会があるという人も多いのではないでしょうか。
この時期の木曜・金曜ともなれば、深夜のまちにいる人の数は普段の金曜日の比ではありません。とりわけ首都圏では、帰宅するお客さんで電車が混み、その輸送対応も大変です。そこで各社、毎年工夫してピークのずれた帰宅客の輸送を行っています。
とりわけ2013年は東急電鉄が終電の大幅繰り下げと深夜急行バスの増強で輸送するというすごい年でした。その後はそれほどの盛り上がりには欠けますが、各事業者の工夫が見え隠れします。
では、実際の深夜の電車混雑と輸送体制はどのような感じなのでしょうか。
今回は昨年の東武東上線を舞台にレポートしたいと思います。調査は昨年ですが、今年もほぼ同じ輸送体制のため、同じような状況になるかと思われます。ぜひ参考にしてみてください!
東武東上線における2016年年末深夜輸送体制
東武東上線は池袋から埼玉県の寄居を結ぶ路線で、池袋からの直通電車は小川町まで入線します。
そのため、川越を越えた鶴ヶ島・坂戸・東松山といった東京から離れた都市からも都内へ向けた通勤客がいます。すると、都内近くに住む人と同じような時間まで飲み会に参加するようなことがあると思います。そうなると心配になるのは帰りの足です。終電が池袋を発車する時間は、小川町行きが23:02、森林公園行きが24:02、川越市行きが24:44です。
一見すると、川越市から先へ帰る人が志木あたりに住んでいる人と同じタイミングで帰る時に、川越からタクシーとなってしまいそうに見えます。
そこで登場する強い味方がいます。東武バスウエストが運行する深夜急行バスです。川越から森林公園まで運行され、川越郊外はもちろん、途中駅の鶴ヶ島・坂戸・東松山をカバーします。川越駅発は25:15発で、川越市行き最終電車の1本前に乗れば間に合います。
また、2016年・2017年は年末にさらにもう1便、25:30発を増便しました。これで川越市行き最終電車でも間に合う算段となります。
では実際の深夜の状況を見てみましょう。調査は2016年師走の金曜日、池袋と川越に1人ずつ配置して行いました。
2016年末深夜輸送レポート:池袋→川越編(調査員A)
池袋駅東上線ホームに23:30頃に到着すると、ちょうど満席のTJライナーが発車するところです。その後の23:32発、23:47発と準急はつり革が半分くらい埋まる程度の混雑で発車していきました。
そのあとの23:55発は臨時準急の川越市行き。そのあとの森林公園まで行く最終準急のクッションとして設定されているようです。前の2本よりは少し空いての発車、クッション効果もあってか24:02発の森林公園行き最終準急もつり革が半分くらい埋まる程度の混雑で発車していきました。
その直前の24:00発最終TJライナーはもちろん満席です。24:15発準急もつり革が半分くらい埋まるくらいの混雑で、ここまでは激しい混雑や混乱もなく、ほぼ時刻通りに人々が帰路についていきます。
しかし、終電も迫ってくると一気に人がやってきます。
そんな中、川越駅25:15発の深夜急行バスに接続しそうな24:30発の準急に実際に乗ってみます。池袋発車時点ではつり革が埋まる程度の混雑で、3分遅れでの発車でした。
しかし、和光市で東京メトロ有楽町線の最終電車との接続、北朝霞でも武蔵野線との接続があり、6分遅れ、7分遅れと徐々に遅れが広がっていきます。車内混雑は志木を過ぎてようやく降りる人が目立ちはじめます。そして、ふじみ野では座席に座れるくらいの混雑になりました。
車内では、川越駅25:30発の臨時深夜急行バスを案内していました。こうしたバスの案内はグループならではの連携かと思います。一方で、遅れのため1本後のバスを案内していました。
最終的に川越には7分遅れの25:14に到着しました。25:15発の深夜急行バスはやはりこの準急の接続を待っており、乗客がほとんど降りたのを確認し、発車していきました。
2016年末深夜輸送レポート:川越駅編(調査員B)
川越駅前には24時過ぎの到着でした。24時を過ぎて運行しているバスは西武バスの川越営業所行きの1本と東武バスウエストの八幡団地行きの2本のみ。ほとんどが22時台ないしは23時台に終バスとなります。
そのためか、駅前では多くの人がタクシーを待っていました。
電車の方はといえば、23:34に小川町行き最終電車が出発しています。森林公園行きは24:41発、川越市行きは25:22発が最終電車です。川越線は24:13に出る高麗川行きが最終電車となりますが、大宮方面からの列車は24:56着まであります。
駅前を見てから東上線ホームへと向かえば24:26発のTJライナー25号が座席定員+αほどの人を乗せて発車するところでした。降りてくる客と乗る客は3:1くらいでしょうか。
続いてやってきた24:31発森林公園行きは少し立客がいる程度の軽い混雑です。これはふじみ野でTJライナー(ふじみ野からは無料で乗車可能)を先に行かせた影響もあるのでしょうか。
臨時準急の川越市行きは座席にもかなり空きがある状態で到着します。一方、ホームに目をやれば多くの人たちが最終森林公園行きを待っていました。
続いては森林公園行き最終電車ですが、ここで遅れのアナウンスが入ります。池袋でJR線との接続電車を待っていたので7分ほど遅れるとのこと。
アナウンスを聞きながらホームにいると30名ほどの乗客がまとまって階段を下りてきました。これはJR川越線通勤快速からの乗換客で、丁度川越到着5分後に森林公園行き最終電車が出るのです。つまり、この30名ほどは大宮・浦和方面から東上線方面へ帰宅する人々ということでしょうか。それなりの利用があることに驚かされます。
そしてやってきた森林公園行き最終電車はそれまでやってきた列車よりも人が乗っていました。とはいえ、先ほどのレポートにあった通り座席が少し空いているくらいの混雑です。しかし、川越からどっと人が乗りこみます。座席はあっという間に埋まり、つり革も1/3が埋まるくらい人が乗っていました。
森林公園行きが発車するとホームは一気に静かになります。そこでここからバスターミナルへ向かいました。
2016年末深夜輸送レポート:深夜急行バス編(調査員A・B)
東口のバス乗り場では25:10発の八幡団地(川島町)行きと25:15発の森林公園行き深夜急行がスタンバイ済みです。八幡団地行きは16名、森林公園は15名ほどが乗っています。そのあと25:14頃に準急が到着すると、深夜急行へはさらに10名ほどが乗車します。中にはペデストリアンデッキにいた東武バスウエストの係員に案内されるがままに乗っていく人も。営業所からも人が出てきており、4名体制で駅と連絡を取り合いながら運行管理・お客様案内をしている様は「現場の力」を感じます。
そして2本のバス共に遅れている電車の接続を待って25:22頃に発車していきました。
さて、残すは25:30発の深夜急行森林公園行きです。接続予定の東上線川越市行き25:22着の最終列車はほぼ10分の遅れ。待ち受ける東武バスウエストの社員にも情報が伝えられていきます。
最終列車から降りてくる人の数は先ほどみていた森林公園行き最終準急の7割ほどの降車客でした。さすがに最終で川越まで帰るというのはチャレンジングということなのでしょうか。
大方人が捌けたころに川越駅の駅員さんがホームの確認に行きます。残っているお客がいないか確認するためです。窓口前では伝令係の東武バスウエスト社員の方が待っていました。
駅員さんがトイレまで確認すると「バスのお客さんはもういません」と東武バスウエストの社員に伝えられます。そして間もなく深夜急行バスが発車していきました。車内の乗客は12名ほど。時刻は25:40になっていました。
さて、用意していた車で深夜急行を追いかけます。駐車場へ向かう途中にタクシー乗り場を見ると、20~30名ほどが待っています。調査員Aが先に向かった本川越駅でも同じくらいの待機列だったようでした。
本川越駅で調査員が合流し、深夜急行バスを追いかけます。深夜急行は途中遠回りするところがあり、そこをこちらはショートカットを行って無事捕捉。ゆっくりと後ろを追います。
川越市内の降車はあまりなかったようで、霞が関、鶴ヶ島、坂戸ですこしづつ人が降りていきます。坂戸を出るころには乗客は3名ほどになり、北坂戸で2名、東松山で1名が下車して全員降車となり、調査を終了しました。
東武東上線年末深夜輸送調査まとめ
今回の東上線調査では、グループでの深夜輸送の連携と混みすぎないための臨時列車増発といった工夫が見られたと思います。
特に池袋23:55発の準急川越市行きの効果は大きく、川越でもほとんど遅れずに到着したことから、臨時列車の「妙」を感じることができました。
深夜急行バスは確かに2本あった方が乗客は待たされなくてよいと思える反面、2本合わせてもそこまで激しく混むわけではないと思えるほどの乗客数でした。乗務員の手配を考えると25:30発に統一しても、いいようにも思え、来年以降の動きに注目したいと思います。
そのほかとしては、タクシーの待機列をみていると西武バスも25:00頃に川越営業所方面へ臨時バスを1本設定すると効果的ではないかと思いました。
次回は「乗り過ごし救済バス」で話題のJR中央線方面の忘年会シーズンの帰宅客輸送を追いかけたレポートをお届けします。
matinote編集部
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