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matinote編集部が行く!(1)浜松の「奥深さ」ーその3・姫街道から気賀、そして浜名湖へ

 前回前々回と浜松の北部を中心にめぐってきました。今回からは2日目となり、まずはまちの外縁部へと向かいます。

 

2日目の前半、今回の記事で出てくる場所の位置関係図です。主に西側をめぐります。紫色の線は私たちの通ったルート、青線は浜松環状線です (OpenStreetMapを元に鳴海行人作成) © OpenStreetMap contributors

 
 

浜松市街の通勤需要を眺めながら北へ

 10月7日(2日目)になりました。今朝は快晴、せっかくなので、景色のいいところにいいところへいきましょう。

 朝ですがさっそく渋滞に巻き込まれます。しかし我々は郊外方面へ向っているのに、どうして渋滞しているのか疑問に思います。調べると、どうも本田技研工業の工場などに向かう自動車のようです。さらには航空自衛隊の基地があって、南北方向の道路が不足しているという理由もありそう。

 もちろん中心市街地方向の渋滞もあり、浜松での通勤は渋滞に悩まされそうです。双方向の道が渋滞する中、三ケ日発浜松市街地方面行きの高速通勤バス「オレンジ・エクスプレス」とすれ違います。三ヶ日までは高速を経由しない路線バスもつながっており、路線網の広がりを感じます。

 

三ケ日方面から東名高速道路を経由してやってくる「オレンジ・エクスプレス」です。「浜名湖をひとっとび」というキャッチフレーズがついています。市役所・浜松駅に向かう便と、通学用に「根上がり松」バス停へ向かう便と細かいニーズに応えているようです (写真:白井大河・2016年)

 

 航空自衛隊基地の北側に広がる高丘地区は、三方原台地の上に広がっていて、元々は開拓地であったそうです。1960年代からスプロール的に開発が始まり、その後土地整理事業が行われて、整然とした区画割りと歩車分離が見られる現在の様子になったのだとか。古い郊外住宅地といった風情です。

 

整然とした高丘地区の住宅街 (写真:白井大河・2016年)

 

 高丘の北側にある葵地区も同様に経緯で明治期に開発された地区であり、地名は徳川家の紋からとられたのだとか。葵の場合は高丘ほど土地が整理されておらず、こちらの方が開拓期の区割りが残っていそうな雰囲気でした。

 姫街道をさらに北上し、聖隷三方原病院を見に行きます。ここは浜松駅から姫街道方面へ向かうバスの郊外側のターミナルとなっています。浜松中心市街地まではそれなりの距離がありますが、ここまでは昼間でも毎時6本バスが走っているというから驚きです。

 

右側が聖隷三方原病院です。畑が多いエリアの中に立つ病院周辺だけ商店や住宅地があり、ここが浜松郊外の端っこといった風情があります (写真:白井大河・2016年)

 

奥浜名湖の集落をめぐる

 聖隷三方原病院の東を通る国道257号線に入り、また北上します。やがて三方原台地から下り、旧引佐(いなさ)町域に入りました。途中引佐の中心部や遠鉄奥山線の遺構に寄り道し、西へと向かうと気賀の集落に入ります。

 

国道257号線を金指方面へ向かうと三方原から北方向へ急坂で下ります (撮影:白井大河・2016年)

 

金指地区にある遠鉄奥山線の遺構です。廃線から半世紀以上経過していますが、天竜浜名湖鉄道と交差しているために遺構が残っています (撮影:鳴海行人・2016年)

 

 現在は北区となっていますが、引佐町時代は、気賀地区が交通の要衝となっていました。以前は遠鉄奥山線が通っており、また高丘・葵の郊外開発が早めに始まったのもこの路線による影響がありそうです。現在も毎時3本のバスが気賀までやってきており、ふたたびバス路線網の強さを感じます。
 また、気賀地区内は戦前からの木造建築や昭和30年代の建築物も多くみられるうえ、街路も狭くなっています。

 

古い建物が立ち並ぶ気賀地区の様子 (写真:白井大河・2016年)

 

 再び西へ向かうと今度は天竜浜名湖鉄道の寸座駅に寄ります。風光明媚な駅で、思わずのんびりと列車を待って、写真を撮っていました。

 

天竜浜名湖鉄道の寸座駅です。右手には奥浜名湖が眼下に広がり、景色の良い長閑な駅です (写真:鳴海行人・2016年)

 
 

三ケ日の秘密、そして引佐峠へ

 さて、いよいよ車は景色がいいという目的地へと向かいます。
 途中東名高速道路の三ヶ日ICの前を通るのですが、インターの交差点にはJAみっかび特産センターという施設があり、ここにはジェイアールバス関東の三ヶ日営業所とジェイアール東海バスの休憩所が設置されているのだとか。

 地元のジェイアール東海バスはともかく、どうしてこんなところにジェイアールバス関東の営業所が……と思いますが、これは東名高速道路を走る夜行バスを一人乗務で運行させるために(夜行バスには一定距離以上走る場合に2名以上の乗務員を付けなければならないのです)、ここで交代する場所を作っているのだそうです。なので、ジェイアールバスの夜行バスに乗っていると、深夜に突然三ケ日で停車します。

 

何の変哲もない物産センターのようですが、2階はジェイアールバスの営業所・仮眠所となっています。また、物産センター前には広くスペースがとられ、時折高速バスがやってきて乗務員交代を行います。 (写真:白井大河・2016年)

 

 さて、車は奥浜名湖オレンジロードに入り、一路引佐峠を目指します。ここはドライブコースともなっており、運転する鳴海氏も楽しそうです。

 引佐峠の上で急に狭い道へと右折します。鳴海氏いわく、この奥にいい展望スポットがあるのだとか。途中、車1台通るのがやっとな道を抜けると、目的地「奥浜名湖展望公園」につきました。

 早速展望台に登ると、眼下には浜名湖、そして遠くには浜松市街、その奥には遠州灘までが見渡せます。高い建物が少ない浜松市街地の中で、浜松駅前のアクトタワーが非常に目立ちました。

 

引佐峠から奥浜名湖展望公園に向かう道は狭く、途中で大きな切り返しも必要です。寸座駅方面から上がるルートもありますが、どちらにしても狭隘路は避けられないので注意してください (写真:白井大河・2016年)

 

奥浜名湖展望公園からの眺め、その1です。眼下には東名高速道路の浜名湖SAがあります。奥左手に見える観覧車は舘山寺温泉にある「浜名湖パルパル」のものです (写真:鳴海行人・2016年)

 

奥浜名湖展望公園からの眺め、その2です。東方向を見ると、三方原台地の上に広がる住宅地をみることができます (写真:鳴海行人・2016年)

 

奥浜名湖展望公園からの眺め、その3です。南東方向には遠く浜松の中心市街地が望めます。右奥の高層建築物はアクトタワーです (写真:かぜみな・2016年)

 
  

風光明媚な浜名湖畔を楽しむ

 景色を堪能すると、再び奥浜名湖オレンジロードに戻ります。今度は東側に降り、気賀の市街地に戻ってきました。そして浜名湖東岸を南下し、舘山寺温泉へ向かいます。

 舘山寺温泉は戦後に遠鉄が開発を行った観光地で、遊園地「パルパル」や「舘山寺ロープウェイ」があります。もちろん温泉地としても著名であり、大きなホテルや旅館が立ち並んでいました。

 

舘山寺温泉は大きな旅館が立ち並びます。湖上ロープウエイや遊園地など娯楽施設も集まる観光地です  (写真:白井大河・2016年)

 

 さらに東岸を南下していき、弁天島までやってきました。舘山寺から弁天島へは浜名湖大橋(1970年代建設、2003年まで有料道路)を伝って風光明媚な区間を走ります。

 このあたりではリゾートが意識されているようで、ヤシが植えられているほか、リゾートマンションが見られます。さらには海水浴場があり、シーズン時は海水浴客でかなりにぎわうのだとか。温泉も遊園地も海水浴場もあるとは、浜松は浜松だけでなんでも用意できてしまいそうな勢いです。

 

弁天島周辺は東海道新幹線が浜名湖を渡る撮影スポットです。奥にはリゾートホテルやリゾートマンションが立ち並びます (写真:白井大河・2016年)

 

 風光明媚でのどかな浜松の西縁部めぐりはここまで。今度は住宅地や市街地へと車は向かい始めます。

 次回はいよいよ浜松のまちめぐりレポートも最終回です。住宅地、市街地を一気に見てまわります。

※当記事は文章はかぜみな・図やデータは鳴海行人が分担して作成しました。